幸せな音
優武は慈しむような眼差しのまま微笑んだ。信愛は言ってやりたかった文句が全部喉の奥で詰まった。溢れかえる愛情を抑えきれず優武を抱きしめる。
「もう、こんなに冷たくなって、本当に風邪をひいたらどうするの? 早く家に来て」
「信愛さん」
優武の両掌が信愛の双肩を包む。肩から伝わる震えは寒さだけが原因ではない気がした。思わず優武の顔を見つめる。
「僕と結婚してください」
「えっ、今、なんて……」
「僕と、結婚してください」
懐から指輪まで出されてしまっては信愛の早とちりという線は消える。
「本当にいいの? こんな私で……。だって私、もうじき耳が聞こえなくなっちゃうかもしれないんだよ? 私と結婚したらきっと優武くん、思いもしない大変な事がいっぱいでノイローゼになっちゃうかもよ?」
優武に熱烈に抱きしめられる。耳元に唇を寄せられて信愛の顔が熱くなる。
「これ以上もなく愛している人と家族になれるんですよ? ありえない話ですけど、たとえノイローゼになったとしても本望に決まっているじゃないですか」
嬉しい、愛おしい。心臓が苦しいほどドキドキしている。
「信愛さんの方こそ本当に僕で大丈夫ですか? よく考えてみてください。十歳以上も歳が離れているんですよ? 先におじいちゃんになっちゃいます。きっと髪もすぐ薄くなるし、加齢臭だってキツくなって……認知症になって迷惑をかけるかも、なんですよ……?」
「あはははっ、何の心配っ?」
「もう、こんなに冷たくなって、本当に風邪をひいたらどうするの? 早く家に来て」
「信愛さん」
優武の両掌が信愛の双肩を包む。肩から伝わる震えは寒さだけが原因ではない気がした。思わず優武の顔を見つめる。
「僕と結婚してください」
「えっ、今、なんて……」
「僕と、結婚してください」
懐から指輪まで出されてしまっては信愛の早とちりという線は消える。
「本当にいいの? こんな私で……。だって私、もうじき耳が聞こえなくなっちゃうかもしれないんだよ? 私と結婚したらきっと優武くん、思いもしない大変な事がいっぱいでノイローゼになっちゃうかもよ?」
優武に熱烈に抱きしめられる。耳元に唇を寄せられて信愛の顔が熱くなる。
「これ以上もなく愛している人と家族になれるんですよ? ありえない話ですけど、たとえノイローゼになったとしても本望に決まっているじゃないですか」
嬉しい、愛おしい。心臓が苦しいほどドキドキしている。
「信愛さんの方こそ本当に僕で大丈夫ですか? よく考えてみてください。十歳以上も歳が離れているんですよ? 先におじいちゃんになっちゃいます。きっと髪もすぐ薄くなるし、加齢臭だってキツくなって……認知症になって迷惑をかけるかも、なんですよ……?」
「あはははっ、何の心配っ?」