幸せな音
「割と真剣に歳の差気にしているんですけど。僕は純真な若者を誑かしているんじゃないかって」

本気で葛藤してそうな表情を浮かべ拳を握る優武がおかしくて笑ってしまう。信愛は隙を突いて優武の唇を奪う。優武の面くらった顔を拝めてしたり顔になる信愛。優武は意を決するようにもう一度真剣な顔に引き締め直した。

「信愛さん、一目惚れでした。初めて会ったあの日から毎日好きが積み重なって愛おしくて堪らないです。どんな大変な事も一緒に乗り越えて行けます。一緒に幸せになれるよう頑張ります。だからどうか僕と結婚してもらえないでしょうかっ?」

「はい、喜んで……!」

「ああ、よかったです……!」

 優武は泣きそうな顔で喜ぶと気が抜けたのかふらつく。信愛は慌てて抱き支えた。

「ええっ、なんでそんな自信なさげなの?」

「いやだって、こんなおじさんと結婚するのはちょっと、って言われるかもと思ったら緊張しますよ」

「バカバカ! 優武くんのバカ! 私がそんな事言うわけないでしょ! 私だって一目惚れだったんだから!」

「ははっ、それなら相思相愛ですね」

「そうだよ! 初めて会った時からね!」
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