幸せな音
「……ほら、ベンチに座れる?」
信愛が跪く彼女の手を取った時だった。感電でもしたかのような衝撃が迸る。
背後から抱きしめられる。優しい感触。懐かしい温もり。愛おしい匂い。そんなまさか。
『信愛さん、愛してるっ……!』
間違いない、今のは優武の声! 振り返る。なんで、誰もいないの!? 今確かに優武がそこにいたはずなのに!
「優武くん……! どこっ!? どこにいるの優武くんっ!!」
いくら叫ぼうともいくら目を凝らそうとも人影一つない。なら、幻覚幻聴? いいや、全身が震えるくらいの声量だったし、匂いも気配も感触だってあれは間違いなく優武だった。
「届いた……」
信愛は桜守の安堵の独白を聞いて、あのたった一言を信愛に届ける為だけに彼女は奮闘していたのだと確信した。
桜守景は波長さえ合えば感情、精神、思念、霊魂といった物的に証明のしようもないものを体感的に捉える感覚能力がある。常人であれば肉体という檻に阻まれ決して知覚する事が適わない類まれなこの超感覚を、霊能力と呼称されたりもする。
信愛が跪く彼女の手を取った時だった。感電でもしたかのような衝撃が迸る。
背後から抱きしめられる。優しい感触。懐かしい温もり。愛おしい匂い。そんなまさか。
『信愛さん、愛してるっ……!』
間違いない、今のは優武の声! 振り返る。なんで、誰もいないの!? 今確かに優武がそこにいたはずなのに!
「優武くん……! どこっ!? どこにいるの優武くんっ!!」
いくら叫ぼうともいくら目を凝らそうとも人影一つない。なら、幻覚幻聴? いいや、全身が震えるくらいの声量だったし、匂いも気配も感触だってあれは間違いなく優武だった。
「届いた……」
信愛は桜守の安堵の独白を聞いて、あのたった一言を信愛に届ける為だけに彼女は奮闘していたのだと確信した。
桜守景は波長さえ合えば感情、精神、思念、霊魂といった物的に証明のしようもないものを体感的に捉える感覚能力がある。常人であれば肉体という檻に阻まれ決して知覚する事が適わない類まれなこの超感覚を、霊能力と呼称されたりもする。