幸せな音
景の愛情が霊力となり信愛の悲しみを凌駕する。ああ、もう、魂を覆う肉の壁が邪魔だ。景は生体機能を限界まで抑え意識を保ったまま仮死状態を維持する。死に近づいた事で波長操作が格段にしやすくなった。こんな無茶長くは持たない。でもたった一言でいい。彼の声が一言信愛に届きさえすれば全部うまくいく。
あともう少しで信愛の魂に手が届くという所で信愛が席を立って離れて行ってしまう。
「待って……!」
景は思わず信愛の服の裾を掴んで呼び止める。
「いや! 放して……!」
弱った今の景の身体では手を振り払われた衝撃だけで卒倒しそうになる。
「うっ、えほっ、げほっ、げほっ……おぇ、っっ……」
無茶をした反動が来た。呼吸がうまくできない。胃の中身が逆流してきたが何とか飲み込む。脳が揺らされるような不快感と眩暈……ダメ、ここで意識を失うわけにはいかない。
「……え、あの、ごめんなさい、大丈夫……?」
あともう少しで信愛の魂に手が届くという所で信愛が席を立って離れて行ってしまう。
「待って……!」
景は思わず信愛の服の裾を掴んで呼び止める。
「いや! 放して……!」
弱った今の景の身体では手を振り払われた衝撃だけで卒倒しそうになる。
「うっ、えほっ、げほっ、げほっ……おぇ、っっ……」
無茶をした反動が来た。呼吸がうまくできない。胃の中身が逆流してきたが何とか飲み込む。脳が揺らされるような不快感と眩暈……ダメ、ここで意識を失うわけにはいかない。
「……え、あの、ごめんなさい、大丈夫……?」