幸せな音
「うん、今もあなたを愛おしそうに抱きしめてる。すっごく愛情いっぱいで優しい人なんだね。わかるよ、思ってる事が温もりと音になって伝わるの」

 信愛は地面に膝をつくと握り拳を胸に押さえつけながら、瞳に溜まっていた涙が堰を切って流れだす。

「ッうあああああああああああああああああああっっ!!」

 背中を丸めて泣き崩れる信愛を、景は包むように抱きしめる。

「会いたい……! 優武くんに会いたいよっ……!!」

「大丈夫、ちゃんと会えるよ。私が保証する」

「ああああああああああああああああああっ……!!!」

 景の胸の中で声を上げて泣きしきる信愛の頭を優しく撫でる。

「あなた達が結んだ愛情は、たとえ死であっても別つ事なんかできないんだから」

 この真理が、愛し合うこの二人にちゃんと伝わりますように。
< 48 / 93 >

この作品をシェア

pagetop