幸せな音

その愛は常しえに

 まるで満天の星空の上を歩いているみたい。景に手を引かれながら信愛は思った。

暗闇に散りばめられた無数の輝く灯達。一つ一つは小さな灯でも無数に連なれば地平線の先まで続く万里の道。無数の灯は一ヶ所に留まらずふよふよと漂っているので、このどこまでも続く輝く道はまるで『頭も尻尾も見えないくらい長大な生き物』がうねりながらゆっくりと地平線の先へ進んでいるに見える。だからこの道を『龍の道』と呼ぶのだと景は教えてくれた。

「信愛ちゃん、緊張してる?」

「……うん、だってやっとなんだもん。心臓バクバクだよ」

「そっか。でも何も心配なんかいらないからね。信愛ちゃんはこの一ヶ月本当に頑張ったんだから」

「……ありがとう、景ちゃん」

 深呼吸をして少しでも緊張をほぐそうとする。あともう少しで優武に会えるんだ。しっかりしないと。

「信愛ちゃんリラックス、リラックス。肩の力を抜くのが一番大事なんだよ」

「わかってるんだけど、うまくできない、あんなに練習したのにどうして……」

 どうしよう、絶対失敗したくない。一刻も早く優武に会いたいのにこのままじゃ……。
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