幸せな音

「優武くん……！　優武くんっ、優武くん！　優武くんっ！！」

　信愛は滂沱の涙を流しながら叫ぶ。感情が限界を振り切る。暴走した愛がついに爆発する。気づけば景の手を放して一人で駆け出してしまう。

「いってらっしゃい。伝えたい事全部伝えてきてね」

景に背中を押されると、ものすごい速度で走る事ができた。違う、走るのが速いんじゃない。思考が、意識が、心がどんどん早くなっていくのがわかる。

「愛してる！　私だって優武くんに負けないくらい愛してるんだよ！」

　いつの間にか空間は光で満たされていて、優武の気配に導かれるままさらに光の奥へ。

「私だって幸せだった！　私だってこんなに幸せにしてくれる優武くんに何か返したいってずっと思ってた！　これからも一緒に生きていきたいって何度祈ったかわからないよ！」

　奥に行けば行くほど眩しく輝く光の空間をがむしゃらに突っ走る。

「もう何もいらない！　優武くんさえいてくれたら他には何もいらないよ！！」

優武の意識を強く感じる。信愛は一切の躊躇なく優武の意識に向かって飛び込むように抱きつく。優武は頼もしく受け止めて抱きしめてくれる。