幸せな音
「こうやって信愛さんに受け入れてもらう度に満たされて幸せ過ぎて、だから不安になるんだ、僕はちゃんとこの幸せを返せているのかって」

「えへへへ」

 信愛は満たされたような顔で笑う。優武は信愛の笑顔に見惚れる。

「サービス過剰なくらい返せてるから安心して?」

 優武は感極まったのか男泣きをする。泣いている優武くんもこんなに愛おしい。抱きしめる。私の胸の中でもっと泣いて。もっと甘えて。幸せをもらいすぎているのは絶対私の方だと思う。お互い求め合う。嬉しい。気が済むまでキスをする。ほら、こんなに満たされているんだもの。

「うふふふ!」

「信愛さん、どうかした?」

「いやー、優武くんずっと敬語じゃないなーって!」

「だって、全部知られちゃったから。隠してきた本当の自分も、見栄を張って装っていたものも全部。今更頼れる大人を装うのは気恥ずかしくて……気になるようだったら戻しましょうか?」

「ううん、そのままでいて。頑張ってる優武くんも見栄を張っている優武くんも好きだけど、ありのままの優武くんが一番好きなの」

「ええ、本当? でもちょっと子供っぽくてがっかりしなかった?」
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