幸せな音
 優武の愛が、命が、信愛の中にちゃんと受け継がれていた。

「産むからね……!」

 優武の命の軌跡が、生きていた証が、信愛の中にちゃんと(のこ)されていた。

「絶対! 何があってもッ!!」

 信愛はお腹の赤ちゃんと優武に熱く誓った。



 最寄りの産婦人科で診てもらって、産科医からオメデタを告げられた。妊娠八週だった。付き添いの母とその場で抱き合いながら泣き崩れた。

 病院を出ると信愛は父に電話で懐妊の報告をする。電話の声は聞き取り辛いから一方的に話して後は母に代わる。電話越しで父も泣いて喜んでいたという。

 優武の両親には直接会って信愛の口から告げたかった。失礼かもしれないがアポなしで家に出向き、幸い家にいた優武の母に懐妊の報告をした。

 優武の母はしばらく泣き崩れた後、何度も言祝(ことほ)いでくれた。優武のように優しくて愛情深くて、信愛を我が子のように可愛がってくれる素敵な義母だ。

「お腹が大きくなったら、また遊びに来ていいですか?」

「嬉しいわ、またいつでも来てね」
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