幸せな音
今後は下着にも気合を入れるとして、しかしこのままお開きになるのだろうか。まだ夜八時。ワンチャンもう一イベントあるかもしれない。

「あの今日って……」

「はい、今日はありがとうございました。とても楽しかったです」優武はいい笑顔で応える。

やっぱりかー。

信愛はええー、もう帰っちゃうのー、という本音を呑み込んで「そんな、私の方こそはしゃぎすぎて恥ずかしいです。ごはんもごちそうになってしまって」大人スマイルで応える。

 はぁー……どうしよう帰りたくない。寂しいとか切ないとかそういうお淑やかな感情じゃない。子供みたいに駄々を捏ねたくなる。

ヤダヤダ帰りたくない! もっと優武くんと一緒にいるのー!

はぁー、言いてー、いい歳こいてわがまま言いてー。

「帰りは大丈夫ですか? その最近物騒ですし、もしよければお家まで送らせてもらえませんか?」

「えっいいんですか、そんなに甘えてしまって!」

「いいも何も僕の方からお願いしたいくらいですよ! 少しでも長く早稲田さんと一緒にいたいので!」
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