幸せな音
「蹴った、今蹴ったよ信愛さん! すごいすごい!! 僕達の子は天才だ!!」

「そうだねー」

「あっ、また蹴った! 信愛さん待ってこの子相当可愛い! 僕にはわかる、この子は世界で一番可愛い赤ちゃんだ!!」

「親馬鹿なパパで困りまちゅねー?」

「信愛さんちゃんと聞いて!」

 信愛の言う事に同意するように一回お腹を蹴る赤ちゃん。返事に一回お腹を叩く。赤ちゃんが二回蹴る。二回お腹を叩く。今度は信愛から二回お腹を叩く。赤ちゃんが二回お腹を蹴った。

「はッ!? 優武くんこの子世界一天才だわ……!」

「信愛さんもあんまり僕の事言えないんだよなー」

「そういえば80%の確率で男の子だって! 耳も聞こえてるって先生が言ってたから名前を呼んであげたいの! 優武くんはどんな名前がいいと思う?」

「そうだねー、今って逆にキラキラネームじゃないと浮くって本当かな? それとも一周回ってシワシワネーム? いや、ここは柔軟に普通の方が……くっ、ごめん信愛さん、愛する我が子の一生を左右してしまうこんな重大な事、おいそれと口にはできないよ。ちなみに信愛さんはどんなのがいいと思う?」
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