幸せな音
もう何時間いきんだ? まだ出てこない!? なんで!? お願い歩生早く出てきて!
痛みのせいなのか何度も気絶して陣痛の度に意識を取り戻した。痛過ぎて、疲れ過ぎて、あんなに練習した呼吸法もうまくできなくなってしまう。それどころかただの呼吸すらままならなくて、うまくいきめなくなってきた。あとどれくらい頑張れる?
また気絶の波が来る。今度の気絶は深い。握りしめていた分娩台のバーから手を放してしまうほどだ。サイズの合わない優武のペアリングは簡単に信愛の指から抜け落ちる。しかしペアリングは床に落ちない。傷だらけのペアリングを左薬指に嵌めた手が放り出された信愛の右手を掴む。
『信愛さん! 大丈夫だよ! 僕がついてる! 頑張れ!』
優武の声が聞こえて一気に信愛の意識が覚醒する。夢を見ていないはずなのに、景の不思議な力が働いているわけでもないのに、優武の姿がはっきり見える。信愛の手を握りながら一生懸命に腰を摩ってくれる。その必死な形相は今にも泣いてしまいそうだ。信愛は笑ってしまう。なんて心強いのか。これはまだまだ頑張れそうだ。
「くああああッ……!」
痛みのせいなのか何度も気絶して陣痛の度に意識を取り戻した。痛過ぎて、疲れ過ぎて、あんなに練習した呼吸法もうまくできなくなってしまう。それどころかただの呼吸すらままならなくて、うまくいきめなくなってきた。あとどれくらい頑張れる?
また気絶の波が来る。今度の気絶は深い。握りしめていた分娩台のバーから手を放してしまうほどだ。サイズの合わない優武のペアリングは簡単に信愛の指から抜け落ちる。しかしペアリングは床に落ちない。傷だらけのペアリングを左薬指に嵌めた手が放り出された信愛の右手を掴む。
『信愛さん! 大丈夫だよ! 僕がついてる! 頑張れ!』
優武の声が聞こえて一気に信愛の意識が覚醒する。夢を見ていないはずなのに、景の不思議な力が働いているわけでもないのに、優武の姿がはっきり見える。信愛の手を握りながら一生懸命に腰を摩ってくれる。その必死な形相は今にも泣いてしまいそうだ。信愛は笑ってしまう。なんて心強いのか。これはまだまだ頑張れそうだ。
「くああああッ……!」