幸せな音
 誰かが何かを言っているがそれどころじゃない。歩生はどこ!? 歩生の無事を確認できないと死んでも死にきれない!

「ああああっ、ああああああっ」

 信愛はタオルに巻かれた歩生を抱かせてもらってようやく歩生の産声が聞こえた。よかった、歩生がちゃんと泣いている、生きてくれている……! じわじわと実感が湧いてきて、突然感情が振り切れて涙腺が決壊する。

『信愛さん! 歩生! すごい、すごいよっ、うあああああああああああああああ……!!』

 優武は感極まって信愛ごと歩生を抱きしめて泣き崩れる。

「ぁぁぁぁぁッ……!!」

 優武の胸の中、信愛も歩生を抱きながら掠れた声で泣き崩れる。家族みんなで声を上げて泣く。幸せの音色が世界中に木霊(こだま)するようだ。

 ありがとう優武。ありがとう歩生。ちゃんと聞こえたよ、とびっきり幸せな音――……
< 93 / 93 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop