完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
子犬のような愛嬌を振りまく彼、水澄結翔はその人懐っこい容姿の使い方を「知っている」のか、入社二年目にして早くも営業成績のトップグループに食い込むほどの人材だった。
その人懐っこい気さくな雰囲気と、愛想のよさや仕事の成果も相まって女子たちが騒いでいるのも納得である。
気遣いも出来るらしく、将来有望株としてお近づきになりたいと何人もの女子が狙っているらしいが――
“今その気遣い本当にいらない!”
だって私は今、スカートを穿いてないのだから。
「で。具合悪そうだけど風邪ですか?」
「いいえ。大丈夫ですのでお気になさらず」
心配してくれているので少し心苦しくはあるが、あまり話が長引くとスカートを穿いていないことに気付かれる可能性が上がるのでなるべく素っ気なく聞こえるように返事をした。
の、だが。
「いや、絶対熱ありますよ! ほら、おでこすごく熱いし」
“めちゃくちゃグイグイ来るんですけど!”
全然引いてくれない彼は、引くどころかむしろ乗り出して私の額に手を当てて。
「ちょっ!」