完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 だが人は案外誰かと関わらなくても生きていけるし、交流しなくても問題はない。


 それでも。
 もし大事にしたいと想う人が出来たのならば。



 いつ眠ってしまったかはわからないが、重い瞼をうっすら開く。

 カーテンの隙間からは白く、だがまだ薄暗い光が射し込みまだ夜が明けきっていないことを理解した。

 私のお腹に回されている腕は思っているよりがっしりとしていて。

“寝顔も幼いわね”

 気遣い屋で意地悪。
 打算的なのに無邪気で。

 大事にされているし大事にしたい。
 そんな可愛い私の恋人。


「……大好き」



 ――その手を離してしまわないように、築く全てを大事に出来ますように。
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