完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 そしてそんなところも可愛く見えた私はすっかり重傷だ。


「でも折角のデートが」
「あら、私は映画をナシにしようと言っただけでデートまでナシにしようとは言ってないわよ」
「……へ?」

 ほら、やっぱりぽかんとしているこの子犬のような顔が可愛いんだから。


 しょぼんとした彼にとびきり意地悪な笑顔を向けた私は、彼の腕を引き映画館ではなくスーパーに向かう。

「デートの概念はご存知? 同じ空間で共に時間を過ごすことよ」

 ふふっと笑うと、やっと彼も笑顔を向けてくれたのだった。




「――デートの定義を知ってますか」

 スーパーに寄り食材を買い込んだ私たちはそのまま彼の家へ向かい、そして寝室へ直行した。

 もちろん理由は寝不足な彼を寝かせるためである。

「なんでデートなのに俺だけ寝かせられるんです!? せめて美月さんも一緒に寝てくださいよ」
「買った食材を片付けたいから嫌よ、腐ったらもったいないじゃない」
「二人で片付けるとか」
「そもそも寝不足なのは貴方だけよ、私は寝ないわ」
「デートですよね!?」
「立派な家デートじゃない」
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