完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 私が断言すると、コレジャナイ、ナンカチガウと無理やり横にした彼がもそもそと口を動かす。
 けれどやはり限界が近いのか、瞬きが多く、瞼が重くなってきたようで。

“横になっただけでもう寝そうじゃない”

 そんな彼にくすりと笑った私がそっと彼の頭を撫でると、すぅすぅと寝息をたてはじめたのだった。



「じゃ、私はお昼ご飯の仕込みでもしておこうかしら」

 会社から近いこともあり、付き合い出してから彼の家へ来ることが多かった。
 いつの間にか彼の家のキッチンも使い方や配置を覚え、私の使いやすいように道具も増えて。

“なんだか少し夫婦みたい”

 だなんて少し浮かれたことを考えつつ買ったばかりのネギを刻む。

「寝起きに食べるんだから消化にいいものよね……」

 生麺のパックうどんは買ったし、うどんに散らすネギは刻んだ。
 卵は出汁と茹で合わせる時に混ぜるとして、それは彼が起きてからでいいだろう。

“思ったより下準備ってないわね”

 買った食材を片付けネギを刻んだだけであっさりと準備を終わらせた私は、リビングのソファに腰掛けてスマホを開く。
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