完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「言ったじゃない、デートの概念はご存知? って」
「違う部屋でも同じ空間認識されるんですか。というか俺もデートの定義について確認したと思うんですけど」
「それに本を読んでいたからあっという間だったわよ?」

 どこか不服そうな彼にくすくす笑いながらスマホを見せると、チラリと視線をスマホへと移した結翔が私をソファの背もたれ側から抱き締めた。

「何読んでたんですか」
「昨日買った経済学の本」
「美月さんっぽい……」

 背後から抱き締められ前側に回った彼の腕にそっと手を添える。
 頬に彼の吐息を感じつつ、その声色に少し落ち込んでいるような気配を感じて。

 
「……私は楽しかったし嬉しかったわよ」
「?」
「他人が家にいるのに熟睡とか出来ないじゃない。そりゃ疲れてたってのが一番にあるんだろうけど……私は他人カテゴリーじゃないのかしらって」

 安心出来る相手として、結翔の中にいるのかと思うと嬉しかった。
 それに。

「あの……、お昼ご飯の下準備をするために一人でキッチンに立ってたら、えーっと、その」

“新妻気分で楽しかった、は流石に引かれるかしら”
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