完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 彼女の口から出た同じ苗字に、あ。と思う。

“確か総務部長が旦那さんだったはず”

 元々営業として一緒に働いていた旦那さんは、結婚をキッカケに総務部へと移ったという。
 途中で移動したにも関わらず、旦那さんも部長という地位に就いていることから夫婦共に仕事が出来るのだろう。

 そうやって互いに尊重し合える二人を少し羨ましく思い、それと同時に粉をかけてくる副社長を思い出した私はげんなりとした。

 その複雑な心境をぶち壊すように、私の代わりにロッカーを開けてくれた盛岡部長が声を上げる。

「……あら? 制服のスカートもここに掛かってるわね」
「!!」

 その言葉を聞いた私は思わず息を呑みビクッと肩を跳ねさせた。

 
「予備です、洗い替えを置いてるんですよ」
「あぁ。そうなのね」

 咄嗟に言い訳の出なかった私の代わりに、水澄さんがしれっとそう返事をする。
 あまりにも当然というように断言したからか、あっさり納得してくれてそれ以上スカートについては追及されなかった、の、だが。


「……水澄がどうして断言するの?」
「そっ、れは……!」
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