完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 唯一制服ではなく私服のスーツで働く営業部の彼が断言するという行為は、確かに違和感があったのだろう。
 だが、だからといって正直に説明することも今更出来ず、思わず口ごもった私に聞こえたのは。


「俺たち付き合ってるんです」

 という、彼の爆弾発言だった。


“オレタチ、ツキアッテルンデス?”

 水澄さんの言葉を聞いてぽかんと口を開けて振り向いた盛岡部長、そしてそれ以上に愕然とした顔の私はそれぞれ彼の方を向くが、そんな視線はむしろ気付いてないというように彼は話を続けた。

 
「今日のアポは10時からで余裕がありますし、心配なのでこのまま彼女を送って行ってもいいでしょうか?」
「あー、そうね。彼女が心配でポカされても困るしね」

 少し冗談っぽくそう笑った盛岡部長に、唖然としている私の代わりにお礼を言った水澄さんが私の荷物を彼女から受け取る。
 その様子を見てやっとハッとした私も慌てて頭を下げると、そのまま片手をひらりと振った彼女はエレベーターへ向かって歩き出した。

 営業部のある六階に戻るのだろう。
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