完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 以前はロッカーの鍵をかけずに帰っていたのだが、制服や予備の生理用品くらいしか入れていないとはいえ今は何をされるかわからず施錠して帰るようにしている。

 
“ほんっと幼稚なんだから”

 仕事を押し付けられたり嫌がらせをされたり。
 陰口も散々叩かれていて。

 もともと誰かとなれ合うタイプではなかったし、少しキツそうに見えるツリ目も相まって冷たい印象を与えることも自覚していた。
 だがそのイメージがむしろプラスになるよう仕事を徹底し、誰に対しても平等に接することを心がけて。

 ニュースも欠かさずチェックし、進んで誰かと関わらない代わりに常にアンテナを張り耳だけはしっかり動かした。
 そしてそんな小さな努力がいつしか実を結び、新卒で入社した頃は「冷たく愛想のない女」だった私が「クールな完璧美人」と評されるまでに約四年。
 

 その努力をしてきたからこそ『美月さんって美人ですね』とか言われたらそのまま『ありがとう』と返すし、『一緒にメイク直し行きません?』といったお誘いは一蹴してきたのだ。
 もちろんそういった私の行動が嫌がらせ行為を助長させた原因だと理解はしているが――
 
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