完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「何か、何かお詫びをするわ!」
「え?」

 私の言葉が意外だったのか、きょとんとした顔を返される。
 けれど、そんなこと気にせず私は彼に詰め寄った。

「なんでも言って!」

“散々疑った上にこれだけ迷惑かけたんだもの、このままなんて完璧美人の名が廃るわ”

 「なんでもって言われても……」

 明らかに戸惑った様子を見せる水澄さんを、私はじっと見上げる。
 このまま借りを作っておくなんて絶対にしたくなく、そしてそんな私の意思に気付いたのだろう。


「じゃあ、コーヒーを奢ってください」
「コーヒー?」
「えぇ。そもそもこういう時ってお互い様ですし、見返りが欲しくてしたわけじゃないのでそれで十分ですよ」

 流石にそんなのお礼にならないと思ったが、彼も引くつもりがないのか私の方へ微笑んだまま動かない。
 私は仕方なく曖昧に頷きながら、差し出されていた荷物を受け取るしかなかったのだった。


 その後一人部屋に戻った私は、やはり熱の影響かそのまま眠り、土日も買い置きだけでなんとかして存分に体を休めた。
 そのお陰もあり週明けには完全復活し、月曜日を迎えて。

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