完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 しまった、と焦っていると、そんな私を察したのかそもそもあまり気に留めなかったのか、すぐに普通の表情に戻った水澄さんは。

「確かに、自然とこうやって振る舞ってるからもしかしたら久保さんの言う通り本能的に犬になってるのかも」

 なんてあっさりと断言した。

「私が言うのもなんだけど、そんなこと口に出さなくても……」
「いやぁ、確かにそうかもって思っちゃって。あっ、でも別に犬になりたい訳じゃないですよ? こう振る舞えば円滑に回るなって場面も確かにあったなって思っただけです」
「そうなんだ」
「あ、一応言っておくと別に可愛がられたくてこんな感じに振る舞ってる訳じゃないですからね」
「わかってるわよ」

 少し焦ったような水澄さんに慌てて頷くと、彼はほっとしたような顔をする。

“確かに周りに可愛がられるキャラって仕事を円滑に進めるものね”

 それは私の持っていないものでもあったので、素直にそう言う彼に関心した。
 だからだろうか。

「すごいのね」
「え……」
 
 気付けば零れるように本音が漏れる。
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