完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「別に、理想の自分を作ることを否定はしないけど、嘘つきって訳じゃないから」
「つまりお好きなんですね」
「別に好きってほどじゃないから!」
「確かに意外ですけど、でもいいんじゃないですか」
「だ、だから私は……っ」

 必死に言い繕おうとする私ににこりと笑った水澄さんは、足をゲームセンターの方へ向けた。

「折角ですから、チャレンジしましょう」
「なっ」
「ほら、ゲーセンって入れ替わり激しいですし。それに人気のキャラならすぐ取り尽くされちゃうんじゃないですか?」

“それは確かにそうかも”

 彼の言い分に思わず納得してしまう。
 もし欲しいのならば、今しかないとそう思わされてしまった私の視線も自然とその看板へ向かって。

“か、可愛い……”
 その看板に描かれたつぶらな瞳にきゅんとする。
 
「別に会社に持っていく訳じゃないんですし、部屋に置くなら隠さなくてもいいんじゃないですか」
「でも、もし誰かに見られたら」
「というかそもそも自分を作ってること、隠してないんですよね?」
「努力を誤魔化す必要はないと思っているだけよ。積極的に噂の火種を投下したい訳じゃないわ」
「んー……」
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