完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話

7.熱くて、イタイ

 水澄さんとのデートは、午前集合だったこともありなんと健全すぎる16時解散だった。
 大人な行為に誘われるどころか晩御飯にも誘われない。

 したことと言えば見かけたカフェでランチを食べゲームセンターで遊んだだけという学生、それも中学生のようなデートである。
 どう断ってやろうか、なんて考えていた私は肩透かしもいいところで、だからか一周回って逆に解散するのが惜しいと感じるほどだった。

 ――気の迷いだと思うけれど。

 
 そんな彼とのデートから二日たった週明けの月曜日。
 また長い一週間が始まるという朝一番の出来事だった。

「節操なしってこういうこと言うんですねぇ~」
「は?」

 いつものように制服へ着替えていた私に聞こえたその言葉に唖然とする。
 言ったのはもちろん同僚で、彼女も着替えようと自身のシャツのボタンを外していた。

 なんの話かわからず彼女の方へ視線を向けるが、私の方へは一瞥もくれず淡々と着替えていく。

“今日も朝から受付に出るのね”


 私が倒れたあの朝、他の受付担当が持ち場にいなかったことが上の耳にも届いたせいでこっぴどく怒られたらしいと後から聞いた。
< 52 / 137 >

この作品をシェア

pagetop