完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「俺はやっぱりドリアかな。なんかここに来るとこのドリアを食べなきゃいけないような脅迫概念に襲われるんですよね」
「値段もボリュームも学生には魅力的だものね」
「あの、社会人です。24歳になりました」
「あら、私の二つ下なのね」

 冗談とも言えないような軽口を交わす時間は思ったよりも心地よく、誰かと食事を共にするのも悪くないと改めてそう実感したのだった。


 お店に入ったのが19時前だったということもあり、店を出たのが20時を少し過ぎたくらいの時間だった。

 まだそこまで遅い時間ではなく、人通りも十分ある時間。
 だからこそ送る必要はないと伝えたが、デート相手を送らない選択肢はないだなんて言われると断れない。

“それに彼にはもう家を知られてるし”

 水澄さんとの食事が思ったよりも楽しかったからか、ネットで見たワインとドリンクバーのコラボで作るお酒も美味しくつい色々試しもした。
 せっかくだからとデキャンタで頼んだワインを頑なに拒絶されたので全て私が飲み切ったせいもあり少しふわふわした気持ちになっているのも事実。
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