完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 そんなアルコールの力が背中を押したこともあり、私は彼の言葉に甘え一緒に帰路についていた。


 帰り道も、カラオケで何を歌うだのファーストフードの新メニューについてだのまるで学生の頃に引き戻されたような会話を楽しんだ。
 どうやら彼といると自分の年齢が26歳のいい大人で、彼の年齢も24歳のいい大人だと聞いたばかりなのにすぐ抜け落ちてしまうようで。


 ――このまま解散は少し寂しいと思ったから。


「私の部屋、寄ってく?」なんて一言が自然と溢れ出た。

「は?」

 ぽかんとした水澄さんの顔と目が合い、アルコールでふわふわと浮かれていた脳が急速に冷える。


“私、何を言った!?”

 学校帰りに『ゲームして行く?』くらいの軽いノリで誘うには、互いの年齢や私たちがいい大人の男女であるということ、そして私が一人暮らしであることなど――あまりにも“違う意図”を含みすぎていて。


「ち、ちが……ッ、私は別に変な意図はないって言うか!」
「え、変な?」
「いやっ、それも間違い、言葉の綾でっ」
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