完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
 なんてどこかいたずらっ子のように笑う彼にまで、うるさいくらいに高鳴る鼓動が聞こえてしまいそうで焦る。
 けれどそれがむしろ心地よくすら感じてしまって。


「水澄さんらしくて格好良かったわ」
「へっ!?」

 素直にそう告げると、彼の頬が赤く染まった。

“可愛い”

 きっと私の頬も赤くなっているのだろうが、何故だか取り繕う気にも隠す気にもならなくて。


「まだ忙しいわよね? お昼、食べる時間あるの?」
「まぁお昼くらいは食べないととは思ってますが」
「なら、ご一緒いかがかしら」
「……はい、ぜひ!」

 少し顔を赤くしたまま、私は久々に会話をした彼と少し遅めの昼食に出たのだった。
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