完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「そうやってお高くとまってるから副社長に捨てられるんですよぉ」
「あ、そっち!?」
「は?」
「あ」

 てっきり水澄さんとのことかと思った私だったは、対象がどうやら副社長だったと気付き呆れつつもげんなりし――そして何故かホッとした。


“だ、だから私と水澄さんは本当に付き合ってる訳じゃないんだけど!”

 ホッとした自分に焦っていると、それをどう勘違いしたのか同僚は可笑しそうに笑みを浮かべる。 
 きっと何かネチネチと私を下げながら自分を上げる何かを口にしようと思ったのだろう、口角を緩めながら彼女が口を開いた時だった。


「契約、取れました!」
「ひゃあっ!?」

 カウンターに乗り上げるような勢いで抱き付かれビクリと体が跳ねる。
 カウンターを挟みぎゅうぎゅうと抱き締められているせいで、机がお腹に食い込み少し痛く、いつもの私ならかなり怒りながら無理やり相手を引き剥がすのだが。


「お、おめでとう……っ!」


 私の口から出たのは、心からのお祝いの言葉だった。
 もちろん、相手が誰でもこんな反応をした訳ではない。

 それは私を抱き締めてきた相手が――

「水澄さん」
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