完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
　指摘してからかいたいという意地悪な心がムクリとするが、流石にここでそれをする勇気はなく、また私たちの関係でそこまで許されるかわからなかったので大人しくした。

　私がじっと彼を見ながら反応を待っていると、そんな私に気付いたのか水澄さんも先ほどの私を倣いコホンと一つ咳払いをする。


「その、久……、美月さんには最初にお知らせしたくて。すみません、場所を考えず」
「最初に？」

　彼の言葉が脳内で反響するように繰り返され、その言われた言葉にじわじわと体が熱くなる。
　
“って、先日副社長との一件で話を聞いていたからってことよね！？”

　じわりと私の体を熱くした言葉を追い払うようにぶんぶんと頭を振った私は、今度はその言葉を追い出すように深い意味はないんだと脳内で反芻した。


「大きな契約だったものね。水澄さんの頑張りが認められて私も嬉しいわ」
「俺も美月さんに祝って貰えて嬉しいです」

“んんん～～～！！　それ勘違いしちゃうやつだからぁ～～～！！！”

　無自覚に緩んだ顔を見せる水澄さんに戸惑っていると、そんな私を追いやるように割り込んだのは同僚だった。

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