完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
“彼らからは私がどのように見えてるのかしら”

 一方的に責めて謝罪を強要しているように見えるかもしれない。
 ここで彼女たちがもし私に一方的に言いがかりをつけられたのだと言い張ったら――


「あの、もしかしたら今はまずいかもしれないわ」
「何がですか?」
「え? だからその、もし彼女たちがね」

 しどろもどろになっている私をどうとらえたのか、首を捻った水澄さんはすぐにニヤリと口角を上げて。


「案外心配性なところも好きですよ」
「ふぇっ!?」

 ちゅ、と私の額に口付けをした。

 ざわっと一気にその場が色めき立ち、それまでぐるぐる考えていたことが全て頭から吹っ飛んで。


「すみません、俺の彼女まーた熱があるみたいなんで休憩室行きますね」

 そのまま私の手を握り、集まっていた社員たちの隙間を縫うようにしてその場を離れたのだった。




「……ふ、はは、はははっ」
「ちょ、ちょっと!?」
 
 水澄さんに手を引かれながら歩いていた私は、突然足を止めて笑い出した彼にぎょっとする。

「えー、何してるんですか、作り上げた自分とやらはどうしたんです?」
< 93 / 137 >

この作品をシェア

pagetop