君に贈る花
◇第一花◇スターチス
─それはどこか懐かしく、どこか変な夢。
お座敷の真ん中、数多くの書物を広げた真ん中。
そこに両手を広げて、大の字で寝っ転がる童子。
男の子か女の子かは分からないその子は和服に身を包み、白猫に顔を舐められながらも、天井をぼんやりと眺めて。
『幸せになるのに、特別な力なんて要らない』
そう、呟く。
『ただ愛し合うものたちが、身を寄せ合うだけだ』
脈絡の無い童子の呟きに、白猫が鳴く。
まるでそれは、童子の言葉に同調するかのようだった。
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