【コミカライズ】「石油王にオレはなる!」 ~極上(プラチナ)御曹司と溺愛出張いってきます!!~
 まるで自分ではないみたい。今夜行くカジノはいわゆる富豪だけが入場できるところだから、異性のパートナーを連れて行くのが常識(マナー)だ。

 社長はきっと、英語が流暢だからパートナーに私を選んだだけ。今、彼には特定の恋人はいないと聞いている。いわゆるコンパニオンを手配しなかったのは、手近なところで済ませたかったからに違いない。

 ブティックを出てホテルのロビーに向かうと、社長もタキシードに着替えて待っていた。立っている姿だけで美しく、海外であっても視線を独り占めしている。隣にはUS駐在の秘書兼護衛のロベルトもいた。

 私を見つけた途端、社長は目を大きく見開いて動きを止めた。いつもは嫌味を言ってくる彼が、頬をほんのりと赤く染めている。「お待たせしました」と挨拶すると、彼は「あ、ああ」と言葉を詰まらせた。

「社長? このドレスではいけませんでしたか? スタッフの方が、このくらい派手にした方がいいって言うから、これにしたんですけど……」
「ああ、いいよ。……似合っている」

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