【コミカライズ】「石油王にオレはなる!」 ~極上(プラチナ)御曹司と溺愛出張いってきます!!~
 血が逆流して顔にのぼっている。きっと首元も真っ赤になっている。理論も何も通じないこの人に、一番効果があるのは私の迸る恋情だ。結局いつもこの手を使って止めることになる。でも、それを伝えるのはとてつもなく恥ずかしい。

 一瞬キョトンと目を丸めた彼は、奥に潜む私の感情を読み取ったのかくすりと笑う。——破壊的に顔がいい人の笑顔は凶器だ。

 ドクン、ドクンと心臓が鳴っている。単に無謀な計画を止めたいだけなのに、これでは告白しているようなもの。

 カツカツと靴音を響かせながら社長が近寄って来る。蕩けるような目をした彼は、私の傍に立つと美しい手を伸ばして顎を持ち上げた。

「参ったな……僕の秘書が可愛らしく見える」
「かっ、かわいいって」

 焦りつつ彼を見上げると、漆黒の双眸が私を射るように見つめている。——ゾクリ、と背筋を何かが這っていった。何かをされそうだけれど……彼の手はそこで止まると、ニヤリと不敵に笑う。

「だが……もう遅い。速水!」
「えっ」

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