別れが訪れるその日まで【番外編】
お姉ちゃんinボタと紫苑君
『……というわけで、あたしは今、ボタに憑依していまーす!』
後ろの二本の足で立ちながら、前足を両サイドに広げて大の字を作るボタ。
……いや、ボタじゃない。今ボタの体を動かしているのは、憑依してるお姉ちゃんだ。
幽霊のお姉ちゃんが中に入って、生き物の体を操る憑依能力。それを使って、お姉ちゃんは今ボタになっているの。
二本足で立ったかと思うと、今度はラジオ体操を始めるお姉ちゃんinボタ。
その動きはとても人間っぽい。
そしてそんなボタを見て目を丸くしているのが、紫苑君だ。
「凄い、本当に中に人間が入ってるみたい……いや、実際に入っているのか。奈沙さんが、ボタの中にいるんだよね」
普通の猫ならまずやらない、あり得ない動きの連続に、驚きを隠せない紫苑君。
お姉ちゃんが考えた作戦は、ボタに憑依して猫っぽくない動きをすることで、ボタの中にいるアピールをするというもの。
午後になってやってきた紫苑君を私の部屋に通して、全部説明した上でお姉ちゃんinボタを見てもらってるんだけど、やっぱりビックリするよね。
というかこれは、私だって何度見てもビックリだもの。
『ふっふっふー、どう紫苑君。逆立ちだってできるよー。はっ!』
お姉ちゃんが言うと本当に逆立ちしちゃって、紫苑君はますますビックリ。
「奈沙さんがボタにとり憑いているのはよーくわかったよ。けど、それじゃあボタの意識はどうなってるの?」
『ボタも中にいるよー。一つの部屋の中に、二人入ってるって感覚かな。何となくだけど、嫌がってないって分かるの』
「ボタの意識も、体の中にあるんだって」
お姉ちゃんが言ったことを、私が伝える。
お姉ちゃんがボタとり憑いて話していても、紫苑君にはニャーニャー言ってるようにしか聞こえないそうだから、私が通訳しなくちゃいけないの。
「なるほど、そうなんだ。それにしても、またこうして奈沙さんと会えるなんて、不思議な気分」
『あたしもだよー。紫苑君、あたしが死んじゃってから幽霊になるまでの間に、転校して行っちゃったからサヨナラも言えなかったけど。世の中何が起こるか分からないねえ。ま、改めてよろしくねー!』
「……お姉ちゃん、改めてよろしくだって」
「こちらこそよろしく」
いちいち通訳しなきゃいけないのが手間ではあるものの、こうしてまた3人でお話しできるのは、凄く嬉しいや。
後ろの二本の足で立ちながら、前足を両サイドに広げて大の字を作るボタ。
……いや、ボタじゃない。今ボタの体を動かしているのは、憑依してるお姉ちゃんだ。
幽霊のお姉ちゃんが中に入って、生き物の体を操る憑依能力。それを使って、お姉ちゃんは今ボタになっているの。
二本足で立ったかと思うと、今度はラジオ体操を始めるお姉ちゃんinボタ。
その動きはとても人間っぽい。
そしてそんなボタを見て目を丸くしているのが、紫苑君だ。
「凄い、本当に中に人間が入ってるみたい……いや、実際に入っているのか。奈沙さんが、ボタの中にいるんだよね」
普通の猫ならまずやらない、あり得ない動きの連続に、驚きを隠せない紫苑君。
お姉ちゃんが考えた作戦は、ボタに憑依して猫っぽくない動きをすることで、ボタの中にいるアピールをするというもの。
午後になってやってきた紫苑君を私の部屋に通して、全部説明した上でお姉ちゃんinボタを見てもらってるんだけど、やっぱりビックリするよね。
というかこれは、私だって何度見てもビックリだもの。
『ふっふっふー、どう紫苑君。逆立ちだってできるよー。はっ!』
お姉ちゃんが言うと本当に逆立ちしちゃって、紫苑君はますますビックリ。
「奈沙さんがボタにとり憑いているのはよーくわかったよ。けど、それじゃあボタの意識はどうなってるの?」
『ボタも中にいるよー。一つの部屋の中に、二人入ってるって感覚かな。何となくだけど、嫌がってないって分かるの』
「ボタの意識も、体の中にあるんだって」
お姉ちゃんが言ったことを、私が伝える。
お姉ちゃんがボタとり憑いて話していても、紫苑君にはニャーニャー言ってるようにしか聞こえないそうだから、私が通訳しなくちゃいけないの。
「なるほど、そうなんだ。それにしても、またこうして奈沙さんと会えるなんて、不思議な気分」
『あたしもだよー。紫苑君、あたしが死んじゃってから幽霊になるまでの間に、転校して行っちゃったからサヨナラも言えなかったけど。世の中何が起こるか分からないねえ。ま、改めてよろしくねー!』
「……お姉ちゃん、改めてよろしくだって」
「こちらこそよろしく」
いちいち通訳しなきゃいけないのが手間ではあるものの、こうしてまた3人でお話しできるのは、凄く嬉しいや。