派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
 恋愛シミュレーションゲーム『Magical stories』のストーリーは、主人公が魔法学園に入学する所から始まる。
 主人公であるメルティナは、十六歳になる年、その高い魔力と知能を買われて、王立魔法学園に入学することになった。彼女は、そこで出会った男性と恋に落ちる。それが、ゲームのあらすじだ。
 同じ年に、アルフィアも魔法学園に入学することになる。彼女の婚約者であるバルクド様もそうだ。
 そこで、アルフィアはメルティナを虐めて、メルティナとバルクド様が恋に落ちる。それが、バルクド様のルートのストーリーだ。

「そして、そのルートの最後で、私は国外追放される……」

 バルクド様のルートの最後に待っているのは、私が国外追放されるということである。メルティナに対する悪辣な行いが公の元に晒されて罰せられた。これが、このルートのアルフィアだ。

「それなら、当然、メルティナを虐めなければいいわよね……」

 非常に単純な話ではあるが、メルティナに危害を加えなければ、私が国外追放になることはないはずである。理由がないのだから、国外追放になるはずはない。

「でも、それが確実であるかどうかは、よくわからないし……」

 だが、私が知っているのは、バルクド様のルートの話だ。それ以外のルートで、アルフィアが何をした結果、罰せられたのか知らない。
 だから、完全に安心できないというのが、現状である。とにかく、私はゲームのアルフィアとは異なる生き方をするべきだろう。
< 10 / 334 >

この作品をシェア

pagetop