派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「皆さん、少しいいですか?」
「あら? メルティナ? どうかしたの?」
「授業中の様子から犯人を見つけ出すのは、難しいことだと思います。もちろん、考える必要はありますが、その前にもう一つ問題を提示しておきたいのです」

 考えても結論が出ない中、メルティナがそう言ってきた。何か、事件に関する疑問を、私達に知らせておきたいようである。

「もう一つの問題? それは、何かしら?」
「アルフィア様やドルキンス様が事情聴取を受けている間、少し聞いてみたのですが、どうやらレフェイラ様は合計三回魔法を使ったそうです。一つは、皆さんを閉じ込めた迷宮魔法、状況から考えて、もう一つは魂奪取魔法でしょう。それなら、もう一つはなんなのでしょうか?」
「確かに、それは気になる所ね……」

 メルティナの言う通り、魔法が三回使われたというのは、気になることだ。その魔法の内容がなんなのか、是非とも知りたい所である。

「どうやら、その魔法は魂奪取魔法の直前に使われたようです。当然、魂が抜けた後は、魔法を使うことはできないはずですから、魂奪取魔法が最後、時間的に迷宮魔法が最初、だからその間に魔法が使われたと考えられるそうです」
「なるほど……」
「そのため、先生方は逃げるための魔法、もしくは魂奪取魔法を躊躇った結果の魔力、そのどちらかだと考えたそうです。ただ、どちらにしても、それ程重要なことではないという結論を出したようですが……」
「まあ、それも仕方ないことかもしれないわね。別に、その魔法が重要なものであるなんて、普通は思わないだろうし……」
「ええ、でも、もしかしたら、それはとても重要なことかもしれません」
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