派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「まあ、とりあえず、行ってみるしかないということよね……」

 私は、ゆっくりと馬車から下りた。目の前には、多くの人間と大きな建物が見える。
 ここは、魔法学園。私が、今日から通い始める場所である。
 今日は、入学式の日だ。様々な人達が、辺りを行きかっている。その中に、見知った人物を見かけて、私はゆっくりとそちらに近寄っていく。

「バルクド様、お久し振りです」
「ええ、お久し振りですね、アルフィアさん」

 見つけたのは、バルクド様だった。婚約者であるため、彼には挨拶をしておかなければならなかったのだ。
 彼も私と同じように、今日からこの学園に通う。やはり、ゲームと同じようにこの世界は進行しているのだ。
 といっても、ここがゲームの世界であるとはとても思えない。私は、今までの約十五年間の人生をしっかりと認識している。記憶もあるし、ここが現実であることを疑う理由はない。
 だが、ゲームの世界と同じように私が人生を歩んでいるのもまた事実である。だから、私はゲームをした知識を使い、ゲームとは違う人生を歩んでいこうとしているのだ。
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