派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「それなら、僕とメルティナさんは別行動だね……アルフィアさんには、魂の関係上、シャザームの研究室に来てもらった方がいいだろう」
「あの……キャロムさん」
「申し訳ないけれど、情けないことに僕は二つある魂の内一つを正確に引き抜ける自信がない。リオーブさんのお姉さんの方に、メルティナさんは行ってもらえるかな?」
「それは……」

 キャロムの言葉に、メルティナは表情を歪めた。それが、何を表しているのか、私にはわからない。どうして、彼女はそんな顔をするのだろうか。

「……アルフィアさんの魂を調べるのは、多分簡単なことではない。専門の機関に預けるべきだろう。だから、そっちのことは考えなくていい」
「……わかりました」

 メルティナもキャロムも、なんだか不安そうな顔をしている。その表情を見ていると、こっちまで不安になってきた。
 二人とも、秀でた知識を持つ人であるため、何か悪いことでも起きるのではないかと心配になってくるのだ。

「一つ確認させてもらうが……お前の記憶は、完全ではないのだな?」
「え? あ、はい……そうですね、完全ではありません」
「そうか……ふん、それは厄介なことだな」

 そこで、今まで黙っていたディゾール様がファルーシャに話しかけた。
 その返答に、彼は何かを考えるような表情になる。こちらも、なんだか不安になってくる表情だ。
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