派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「兄上、よくわからないが、そういうのはもう俺達の領分ではないんじゃないのか? 証拠となる映像も記録したのだし、後は大人達にでも任せればいいじゃないか」
「暗黒の魔女の力は、お前も見ていたはずだ。あれを止められる者は、この国でもそういない」
「な、なんてことだ、つまり、メルティナさんの力が絶対に必要だと、兄上は言いたいのか……」

 暗黒の魔女シャザームの力は強大である。メルティナが本体を止めるのに精一杯で、分割された魂でさえキャロム以上の力。それは、並外れた魔力を持っているという証明だ。
 そんな人物に対応するためには、メルティナの力が必要になる。千年に一人の天才以外に、あの天才に対抗できる者はいないのだ。

「覚悟はしています……もし、あのシャザームが、再び私の前に姿を現したというなら、その時はまた彼女を排除するだけです」

 私達の視線を一斉に浴びたメルティナは、力強くそう言ってきた。
 流石は、彼女だ。とても重大な事実であるのに、それをしっかりと受け止めている。
 だが、その反応に私は少し戸惑っていた。そんな彼女が、とても動揺すること、それは一体なんなのだろうかと。
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