派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
 私は、学園の屋上に来ていた。ここに来たのは、リオーブと話し合って以来だ。
 ここは、あまり人が寄り付かない場所だ。品行方正な者達が多いこの学園の生徒達は、危険だからあまり近寄らないように言われているこの場所をほとんど利用しないのである。
 そこで、私はとある人物と話していた。その人物には、私のことを話しておかなければならないと思ったからだ。

「そんなことに……なっていたのですね」
「ええ……」

 私の説明に、バルクド様は複雑な顔をしていた。私がアルフィアではないこと、時が巻き戻っていること、この学園で起きていた事件のこと。色々と伝えたので、今は彼も色々と混乱しているのだろう。

「そうですね……まずは、あなたのことから触れましょうか。ただ、それは難しいことですね……僕にとって、アルフィアさんはアルフィアさんです。今のあなたしか知りませんから、それについてどうこういうことはできません」
「……そうですか」

 まず彼が触れてきたのは、私が異世界から来たアルフィアではない人物であるということだった。
 ただ、これに関しては反応し辛いようだ。それはわかっている。他の皆も、大抵そんな反応だったからである。
 結局の所、皆時が巻き戻る前のアルフィアを知らない。別人といわれても、それが実感できる要素がないのだ。
 だから、なんともいえない反応になる。そういうことなのだろう。
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