派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
 私達は、再びシャザームの研究室に来ていた。
 ここには、アルフィアの魂がある。その魂を修復して、この体へと戻すのだ。

「準備はいいか?」
「はい……」

 ディゾール様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 心の準備は、既にできている。アルフィアの魂がこの体に戻った時、私はここから出て行く。
 私は、この場所に留まっておくつもりはない。天に旅立つつもりだ。それが、自然の摂理だからである。

「アルフィア様……」
「アルフィアさん……」

 私の周りには、皆がいた。私のことを心配して、来てくれたのだ。
 結局、私の決断に対して、皆は納得していない。今見える表情からも、それは伝わってくる。
 ただ、私の意思を汲んでくれているのか、はたまたディゾール様の論に反論できないからなのか、私達と止めようとする人はいなかった。
 本当に、これが最後の別れなのだ。改めてそれを感じ取って、少し悲しくなってきた。
 だが、それでも私は折れない。折れてはいけないのだ。この世界のために、アルフィアのために。
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