派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「……皆、今までありがとう。皆と出会えたことは、私にとってとても幸福なことだった。アルフィアとして過ごせたこの時間は、私の中でかけがえのない時間だった。ありがとう、本当にありがとう……」
「アルフィア様……そんなことを言わないでください」
「そうだよ……お礼を言うのは、こっちの方だ」

 私の言葉に、メルティナとキャロムは涙を流していた。
 それを見ていると、こちらも心に来るものがあった。自然と涙が、零れ落ちてきたのだ。

「アルフィア嬢、本当にこれでいいのか?」
「そうですよ……こんな結末で……」
「いいのよ、これで……」

 ドルキンスとファルーシャは、私をもう一度止めようとしてくれた。
 何度も思ってきたが、それはありたがいことである。だが、答えも同じだ。私は、これでいいと思っている。

「……俺はあんたを犠牲にすると言った。だが、他に方法はないのか? あんたがこの世界で生きていてはいけないなんて、本当にそうなのか?」
「そうです……あなたは、こちらの世界で生きていたではありませんか。それがどうしていけないことになるというのですか?」
「私がこの世界に来て、この体に入ったのは運命の悪戯……本来なら、あってはならないことなのです。それは元に戻さなければ、ならないこと……」
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