派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「それを理解できたなら、きっと大丈夫……いっぱい謝って、いっぱい反省したら、皆もきっと許してくれる。皆、優しいから……」
「ま、待って……どこにいくの?」
「帰るの……私が在るべき場所へ」
「在るべき場所……?」

 私は、ゆっくりと彼女に背を向けた。
 これで、私ができることは終わりだ。後は、アルフィアと皆に任せることにしよう。
 困惑するアルフィアを置いて、私はゆっくりと歩き始める。自然とどこに行くかはわかった。きっと、この体の本能が、アルフィアという本来の魂を得たため、私を追い出そうとしているのだろう。

「これは……」

 歩き始めてすぐに、私はアルフィアの体から出ていた。ゆっくりと空へと昇っていく中で見えたのは、皆の姿だ。
 皆、私を見て驚いたような表情をしている。それはすぐに悲しそうな表情に変わった。
 皆は、何かを喋っているように思える。ただ、その声は聞こえない。

「これで、本当にお別れか……さようなら、皆……」

 私はそのまま、空へと昇っていく。アルフィアの中にいた時と同じように、どこに行くべきかはわかった。
 いや、わかったというよりは、自然な流れに任せるというべきだろうか。やはり、肉体を失った魂というものは、本来ならそこへ向かうのだろう。
 私は、再びゆっくりと目を瞑った。これで、私の物語は終わりだ。そう思いながら、私は天へと昇っていくのだった。
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