派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「んっ……」

 混濁する意識の中で、私はゆっくりと目を覚ました。
 視線の先には、天井が見える。ここは一体どこだろうか。天国というにも地獄というにも微妙なその光景に、私はそんな疑問を抱いていた。

「うっ……」

 次に気づいたのは、自分の体が自由に動かないということだった。
 体全体が重くて、鉛のようだ。というか、痛みもある。とても動かせそうにない。

「う、そっ……」
「え?」

 直後に聞こえてきたのは、何かが割れるような音だった。それと同時に聞こえてきた声は、どこか懐かしい声だった。
 私は、ゆっくりと音が聞こえてきた方向を向こうとする。重い体はほとんど動いてくれないが、なんとか何があったかだけは確認できた。

「……お、お姉、ちゃん……?」
「静香……起きたの? 起きたのね!」

 目元に涙を浮かべながらも、嬉しそうに笑う姉の姿に、私は自分がどこに来たのかを理解するのだった。
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