派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「実は、手紙が来たのです」
「手紙? これは……」

 メルティナは、一通の手紙を私に渡してきた。その手紙の宛名には、王国騎士団と書いてある。
 それは、この国を守る組織の名前だ。そんな組織から、メルティナの元に手紙が届くとは、どういうことなのだろうか。

「中身を見てもいいの?」
「ええ、もちろんです」

 私は、手紙の中身に目を通していく。すると、そこには例の事件のことなどが記されていた。
 どうやら、騎士団もきちんとシャザームのことを調べているようだ。恐らく、ディゾール様がドルキンスに取らせた記録が、彼らにそんな行動させたのだろう。

「……要するに、騎士団はこちらで調査するから、手出しは無用と言いたい訳なんだね?」
「ええ、そういうことだと思います」
「そっか……うん、まあ、考えてみれば、そうだよね」

 騎士団は、私達にこれ以上の調査はしないようにと釘を刺すためにこの手紙を送ってきたようである。
 それは、当然のことだ。本来なら、これは私達が動くようなことではない。
 学園の事件の時は、教師達が動いてくれないから、そうするしかなかった。だが、今回は違う。
 きちんとした機関が事件を調べるのだ。そこに、私達が介入するのは、正しいこととはいえないのだろう。
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