派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「まあ、そのことは何れ整理できるとは思っている。あの暗黒の魔女が騎士団によって討伐されたと聞けば、俺の留飲も下るはずだ」
「そうかもしれませんね……」
「まあ、その話はもういいんだ。それより、俺はお前に頼みたいことがあるんだ」

 リオーブは、そこでそのように切り出してきた。
 シャザームのことは、これから整理をつけていくということなのだろう。それなら、私が何か言う必要はない。その頼みたいことというのを聞くだけだ。

「頼みたいこと? なんですか?」
「ファルーシャのことなんだが……」
「ファルーシャのこと? 彼女が、どうかしたんですか?」
「ああ……」

 リオーブは、少し暗い顔をしていた。そこからは、心配の感情が伺える。
 ファルーシャに、何かあったのだろうか。別に元気だったと思うのだが、婚約者から見ればそれは違ったのかもしれない。
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