派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「あいつは、ずっと悩んでいるようなんだ。自分が、シャザームに操られて犯した罪の数々に……」
「そうなのですか? でも、それは……」
「ああ、それはあいつが犯した罪ではない。シャザームの罪だ。だけど、その記憶が薄っすらと残っているからか、あいつは罪の意識のようなものを覚えているんだろうな……」
「そんな……」

 ファルーシャは、自分が罪を犯したように思っているようだ。確かに、シャザームから解放された直後は、それが読み取れるような態度だった。
 だが、それがまだ彼女の中にあったとは。そんなことを気にする必要は、まったくないというのに。
 根本的に、ファルーシャは人が良いのだろう。人が良すぎるといえるかもしれない。

「俺にはよくわからないが、それはアルフィアも同じかもしれないな……」
「え?」
「あいつは、自分の罪を反省していた。それで、然るべき所に出ようとしたんだ。だが、それはメルティナに止められた。そんなことをして欲しいと思っていないし、それにこの時間でアルフィアは罪を犯していないから、裁きようがないってな」
< 270 / 334 >

この作品をシェア

pagetop