派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「……何よ、その始まり方」
「え?」

 そんな私に助け舟を出してくれたのは、意外にもアルフィアだった。
 彼女は、私の訳のわからない挨拶に突っ込みを入れてくれた。これは、ありがたい。ここからなら、話が広がりそうだ。

「違ったかな?」
「ええ……とも、いえ、なんでもないわ」
「あれ?」

 しかし、アルフィアは何故か言葉に詰まってしまった。それにより、辺りにはまた沈黙が流れていく。
 ああいうことを言えるのは、アルフィアだけだ。メルティナもファルーシャも、奥ゆかしいのでそういうことは言えないタイプである。

「ええっと……その、皆さん、最近はどうですか?」

 そこで、メルティナがゆっくりと口を開いた。それは、なんというかとても微妙な質問である。
 ざっくりとしているし、どう答えればいいかわかりにくい。彼女は、こんなに喋りが下手だっただろうか。

「げ、元気に過ごせていますよ……」

 メルティナの言葉に、ファルーシャがそう答えた。
 こちらも、あまり広がらない答えだ。というか、ここで会話が終わってしまった。

「えっと……」

 私は、この状況にとても動揺していた。個々で話す時は、もっと話が弾むはずだからである。
 どうして、こんなに空気が重いのだろうか。もっと楽し気な集まりになると思っていたのに、もう滅茶苦茶である。
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