派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
 私の言葉に、ファルーシャはゆっくりと頷いた。その顔は、とても嬉しそうである。
 考えてみれば、私は彼女にだけ距離を作っていた。だが、それはよくないことである。友人であるなら、差は作るべきではない。

「さて、これであなたの口調は問題ないわね……でも、後二人に関しては、どうかしら?」
「え?」
「メルティナもファルーシャも、誰にでも丁寧な口調でしょう? 偶には、砕けた話し方でもいいんじゃないかしら?」

 アルフィアは、そう言って二人に視線を向けた。
 メルティナもファルーシャも、それに少し困ったような顔をする。どうやら、二人にとって口調を変えるのは難しいことであるようだ。

「えっと……私は、元からこういう口調ですから」
「私もです。平民であるとかではなく、誰にでもこれというか……」
「まあ、そうなのよね。私にもシズカにも変わらない訳だし……」

 二人の答えに、アルフィアは笑みを浮かべていた。恐らく、わかっていていったのだろう。その表情が、それを物語っている。
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